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プログラム
海外招待作家による特別講演:「アニメ化が決定『化物語』のイラストレーターVOFANの世界」
- 1. 創作スタイル
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a>カメラの構図用いてドローイングをする:
以前は、絵を描く時に、写真を用いてイメージの設計をしていましたが、今では、頭の中にイメージすることで、魚眼レンズのような広角な構図なのか、どんなフィルムなのか、レンズフレアの表現はどうするのかなどを検討しながら製作しています。この過程は、わたしの創作において重要な要素となっています。
例えば、現在製作中のシリーズ作品「カメラと少女」は、6×6の矩形で構想したものです。あらゆるキャラクターは、昔の人物写真で用いられる典型的な構図でカメラにおさまるように作品の真中に配置されています。 -
b>日常から出発し非日常の世界へ:
台湾の全力出版社から出版された「Colorful Dreams」という絵本は、私のショートストーリーを集めて作られたものです。
すべての物語は、日常生活の中にあるものを素材として製作を始めますが、最終的には非日常的な世界が完成されます。
日常生活の中で身近にあるテーマは、最も魅力的です。また、まったくのオリジナルから世界観を構築するより、日常生活で遭遇する“超現実的な光景”から描き起こす方が大きなインパクトがあると思います。
「日常の中の非日常」ということでは、“廃墟”にもっとも魅力を感じています。廃墟に置かれている食卓・椅子・黒板・電気スタンド・扇風機など日常の品物は、長い時間を経て超現実的な様相を表わします。廃墟には特別な思い入れがあります。
私は、7年前に日本を訪れた時に小林伸一郎さんの廃墟をテーマとした写真集を拝見する機会がありました。その写真集に大きな影響を受けました。写し出された廃墟に魅了されたわたしは、無秩序で混沌とした建築や佇まいに特別な愛着を感じるようになりました。それが台湾で発表した「違章建築」のテーマとなったのです。 - 2. 日本の作家とのコラボレーションについて
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鄭問さんや平凡さん、陳淑芬さんなど、日本でキャリアを積まれた先輩は少なくありません。先輩達は、優秀な作品を数多く残されています。
日本での私の作家活動で特筆できることは、デザインしたキャラクターが、日本でアニメ化される予定であるという点です。それは、三年前、台湾の全力出版社(Max Power出版)を通じて講談社の編集者でおられる太田克史様をご紹介頂き、そのご縁で同社の文芸雑誌「FAUST誌」に作品を連載させて頂いたことがきっかけです。
太田さんは、クリエイターの発掘に非常に熱心な方で、いつもアジア各地を飛び回っておられます。そのためこの雑誌は、韓国や香港、中国の才能豊かな作家の作品が多く紹介されているのです。
この雑誌に作品が掲載されたことがきっかけで、小説家の西尾維新さんとの共作が実現しました。西尾さんが、小説「化物語」のアニメ化を発表されましたが、台湾人が挿絵を描くのは 初めてだそうです。この場をおかりして、あらためて全力出版社と講談社に感謝の意を表します。「化物語」のアニメ作品の完成を楽しみにしております。
小説家と挿絵画家の共同作業での進め方は様々かと思いますが、台湾では、多くの場合、挿し絵の制作にあまり時間をかけません。しかしながら、この作業は、小説家や編集者などとのやり取りを通じて、修正が繰り返されることが多くあります。
講談社さんとの共同プロジェクトでは、十分な時間を与えてくださったので、完成まで余裕を持って作業をすることが出来きましたし、提出した原稿も、ほぼ修正なしで受け取ってくださいました。本当に楽しく作業をする機会を与えて頂いたと思っています。
ユニークな作品は、国や製作スタイルを問わないと考えます。つまり、文化がそれぞれの壁を超えるような現在では、優れた作品であれば、国境を越えて等しく鑑賞することが大切だと思います。国や製作のスタイルに特にこだわる必要はありません。また、すべての国のクリエイターたちは、世界の様々な国で作品つくりをおこなうライバルたちと、フェアに作品の出来栄えを競うことが必要だとも考えます。アジアグラフの精神も、ここにあるのではないでしょうか。
「VOFAN様の中国語の講演ノート」